教育分野におけるモンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育の徹底解明
教育というと、あなたはどういった教育分野を思い描きますか?
数ある世の中の教育で、とても有名な「モンテッソーリ教育」をご存じでしょうか。
子供ひとりひとりの発育や成長に合わせて、きめ細やかな教育を行います。
まさに、サラブレッド教育と言えます。
モンテッソーリ教育では、教育学・心理学・大脳生理学といった側面からの効果が証明された、教育方針や教具を使った教育をすることがその大きな特徴としてあげられます。
それでは、モンテッソーリ教育に関して、少し掘り下げてみましょう。
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育は、イタリアのマリア・モンテッソーリという女医が考案した教育方法です。
子供に生まれながらに備わっている「自己教育力」を、モンテッソーリ教育の教育前提としています。
例えば、子供に歩くことを教えなくても、子供は自発的に歩こうとします。
また、好奇心旺盛で多感な時期には、積極的にあらゆる環境に関わりながら、多くの事柄を体験し吸収します。
成長・発達の過程で、経験をもとに子供は自立に向かっていきます。
モンテッソーリ教育では、自立・有能・責任感・他人への思いやりを軸にして、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てることが目的となっています。
モンテッソーリの教育理念について
日本には、良くも悪くも「義務教育」という制度があります。
そのため、ある一定の教育はこの義務教育と言う制度によって、教育の自由化が失われています。
結果的に日本では、小学校以降の教育に「モンテッソーリ教育」を取り入れることが、とても難しい状況となっています。
モンテッソーリ教育は、幼児期の教育として受け取られがちですが、アメリカやヨーロッパでは小学校から大学までを通しでモンテッソーリ教育を準備している学校もあります。
モンテッソーリ教育では、0歳~6歳までの乳幼児を発達段階の特徴から「前期」「後期」の2つの発育期に分けて考えます。
前期は0歳~3歳を、後期は3歳~6歳までを指します。
前期と後期において、それぞれの発育段階に現れる「敏感期」を背景にして、教育環境を用意します。
敏感期とは、自己教育力の具体的なあらわれであり、自分の成長に必要な事柄に対してとても敏感になります。
環境の中から子供自身が選択し、取り組みながらその対象を難なく獲得する時期を言います。
「前期」の0歳~3歳まで
前期の0歳から3歳までを、モンテッソーリ教育では「呼吸する精神(無意識)の時期」と呼んでいます。
人生の中で、最も情報の吸収力が強く、人間社会へ適用していく時期です。
子供の自己教育力を発揮させる場として、7つの教育環境を用意しています。
教育の場①:粗大運動の活動
子供の成長に関する自立への一歩として、「運動の獲得」があります。
ここで言う「運動」とは、スポーツや遊びを通じた運動を指すのではなく、歩くことや階段の昇り降りという全身を使った大きな運動を指します。
このような、ずり這い(はい)から歩行までの運動獲得の援助を行います。
教育の場②:微細運動の活動
ここで言う「運動」とは、主に手と指を使った運動のことを指します。
握る・落とす・たたくという動きによって、微細運動の獲得の援助を行います。
教育の場③:日常生活の練習
ここで言う「運動」とは、粗大運動と微細運動を複合させた運動のことを指します。
社会生活の中での共同体の一員として、日常活動に参加させることで環境への適応を援助します。
教育の場④:言語教育
人間のDNAに組み込まれている「本能」のひとつとして、言葉の獲得があります。
子供は、話し言葉の「敏感期」に沿って、自分の周囲で話されている母国語を獲得します。
ただし、言葉の量や質に関しては、環境に左右されます。
モンテッソーリ教育での「言語教育」では、豊かな語彙(ごい)を養うために子供の発達段階に合わせたきめ細やかなステップを用意しています。
教育の場⑤:感覚教育
子供は、無意識に与えられた環境全てを吸収してしまう精神を持っています。
吸収する精神によって、ため込んだ様々な感覚的印象は、感覚教具に触れることによって子供の中で情報が整理されていきます。
「感覚の敏感期」を考え、感覚教具を子供の発達段階や興味に応じて提供することで、感覚の洗練化を援助します。
また、感覚教具を操作することで、子供の知性の感覚も合わせて援助します。
教育の場⑥:音楽
世界中のどの文化にも、音楽が存在します。
子供は、音楽を聴くと自然に体を動かし、楽器を鳴らし自己表現を楽しみます。
音楽を聴く・歌う・踊るといった環境を援助します。
教育の場⑦:美術
粘土をこねたり、クレヨンや鉛筆を握って絵を描いたりします。
目と手の協応動作の獲得だけでなく、思いのまま自由に表現することを楽しむ活動です。
「後期」の3歳~6歳まで
後期の3歳~6歳までを、モンテッソーリ教育では「意識の芽生え」の時期と呼んでいます。
前期に無意識に吸収した様々な事柄を、意識的に整理・秩序化していく時期です。
子供の自己教育力を発揮させる場として、5つの教育環境を用意しています。
教育の場①:日常生活の練習
日常生活の練習の目的は、運動の完成になります。
子供は大人のすることを、マネしたがります。
その「模倣期(もほうき)」と「運動の敏感期」を利用して、自分の意志通りに身体をコントロールする能力を身につける場として、日常生活の練習を提供します。
「子供はできないのではなく、やり方を知らない」という考え方をもとに、正確にやり方を伝えます。
自分のことが自分でできるようなった子供は、「自立」に向けた一歩を踏み出します。
具体的には、歩く・コップに水を注ぐ・はさみで切る・ボタンをかける・洗濯をする・室内を掃くといった実生活に密接に関連する多くの活動を行います。
教育の場②:感覚教育
人間は、感覚器官を使って情報を収集します。
3歳を過ぎた子供は、感覚器官がほぼ発達を遂げています。
そのため、様々な感覚刺激に対して、敏感になっています。
かすかな音や小さなもの、微量な香りや味に反応します。
その「感覚の敏感期」を利用して、意識して感覚器官を使って練習するのが「感覚教育」です。
練習によって感覚器官を鍛えることにより、バラエティに富んだ情報を集めることができるようになります。
また、感覚教具には、「分類する」「段階づける」「対にする」という3つの操作が位置付けられています。
脳の前頭葉が働き始め、知性の芽生えの時期の子供は、「ものを観察する能力」と「ものを考える方法」とを身に着けることになります。
モンテッソーリ教育では、「感覚教育」は言語・算数・文化教育という知的教育分野の基礎となる大切な役割を担っています。
教育の場③:言語教育
子供は最初から言葉を獲得しているわけではなく、「言語の敏感期」の時期に自分の周囲ではなされている言葉を母国語として習得します。
言葉の量や質は、環境に大きく左右されます。
モンテッソーリ教育の「言語教育」は、子供の言葉の発達段階に合わせてステップを踏み、語彙(ごい)を豊かにすることから始まります。
文字を書くこともまた、「日常生活の練習」や「感覚教育」で養った手や腕をコントロールする力を利用しながら、習得できるような工夫がされています。
結果、子供は文字に興味を持った時期に無意識に、文字を書いたり読んだりすることが出来るようになります。
教育の場④:算数教育
幼児期には、「数の敏感期」が現れます。
数字の大きさや街にあふれる数字の量に、大きく興味を示します。
そのタイミングで数に関する教具環境を提供することで、数の吸収を容易にします。
モンテッソーリ教育の算数教具は、単に数を数えるだけではなく数量が具体物で表され、手で扱えるようになっています。
それらは、感覚教具からの継続として準備されています。
既知から未知へ、スムーズに子供を導きます。
教育の場⑤:文化教育
「ことば」と「数」以外の子供の興味を対象とした分野が、「文化教育」です。
地理・地学・歴史・動物・植物など、小学校の社会・理科に相当する分野を扱います。
子供の知りたいという要求に応え、興味の種を可能な限り多く蒔く(まく)ことを目的とし、他の分野が統合された総合学習としても考えられています。
モンテッソーリの教具(家庭で行うモンテッソーリ教育)
モンテッソーリ教育で利用する教具は、市販されており購入することが出来ます。
モンテッソーリ教具は、保育園・幼稚園・小学校などの教育機関で使用される教材です。
そのため、家庭内で遊ぶ玩具のように与えるものではないようです。
玩具のように教具を子供に与えてしまうと、モンテッソーリ教具を使っていてもモンテッソーリ教育とはならないようです。
モンテッソーリ教具を使用し教育を行う教師陣は、必ずモンテッソーリ教育の正式なトレーニングを受け、正しい提供方法を学んでいます。
また、モンテッソーリ講師育成コースにて、提供方法を学ぶことも可能なようです。
モンテッソーリ教具は、それぞれの年代で発生する子供の持つ強い興味合わせて、タイミングを見計らって提供する必要があります。
日本でモンテッソーリ教育を受けるためには
海外ではとても認知度の高いモンテッソーリ教育ですが、日本では先にも話した通り小学校・中学校と義務教育と言う制度があります。
そのため、日本におけるモンテッソーリ教育の学び場はとても少ないです。
幼児教育という時期においては、モンテッソーリ教育は日本でもよく耳にするようになりました。
全国でも幼児教育として、モンテッソーリ教育を受けられる学び場が増えては来ましたが、小学校・中学校という義務教育の時期からは、モンテッソーリ教育の学び場は突然少なくなります。
海外では、幼児教育時期から大学卒業するまでのすべての教育課程で、モンテッソーリ教育を受けられるようになっています。
モンテッソーリ教育は、幼児教育期から社会に出るまでの期間を、一貫した教育として受けることが重要であるということだと思います。
日本でのモンテッソーリ教育においても、数校ですが中学校・高校・大学と海外同様に、一貫した教育を受けられる学校もあるようですが、まだまだハードルは高そうです。
モンテッソーリ教育を受けた有名人
最後に、モンテッソーリ教育を受けた有名人を少し紹介してきましょう。
いかにモンテッソーリ教育が、社会にとって素晴らしい人材を輩出するきっかけとなっているのかがよくわかるかと思います。
政治家
英国王室:
ウイリアム王子
ヘンリー王子
アメリカ大統領:
バラク・オバマ
事業家
マイクロソフト創業者:
ビル・ゲイツ
Facebook創業者:
マーク・ザッカーバーグ
Googleの共同総合者:
セルゲイ・プリン
ラリー・ペイジ
Amazon創業者:
ジェフ・ベゾス
著名人
プロ棋士:
藤井聡太
アカデミー賞俳優:
ジョージ・クルーニー
世界的チェロリスト:
ヨーヨー・マ
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